昼も夜も(ひるもよるも)
配給: ギャガ(GAGA)?
監督:塩田明彦(しおた あきひこ)
脚本:塩田明彦(しおた あきひこ)
出演:瀬戸康史、吉永淳※
公開日:2014/10
ジャンル:ヒューマン
「昼も夜も」は亡き父の意思や大切な彼女といった周囲の人間に縛られている男と、自由気ままに周囲の人間を振り回す女との偶然の出会いと不思議なやり取りを通して、喪失感や希望を描いた映画です。
監督は「黄泉がえり」や「害虫」の塩田明彦さん、主演の二人はミュージカル「テニスの王子様」や月9ドラマ「海月姫」等に出演されている瀬戸康史さんと、映画「リアル鬼ごっこ2」等に出演されている阿部純子さん(※以前は、「吉永淳」の名義で活動)です。
本作はもともとYouTube限定で無料公開するプロジェクト「ネスレシアター on YouTube」内で公開された映画です。
あらすじ
2年前に他界した父親の中古自動車販売会社を継ぐ真野良介(瀬戸康史)、彼は父親の代わりとして少ないながらも従業員のいる会社を経営し、また自由気ままな母親の代わりに年の離れた妹の世話をしています。
ある日、営業時間中の店舗前の道路で、一組のカップルが停車し口論をしたかと思うと、女(吉永淳)が車から飛び出してきてきます。
最初はまともに相手しない真野でしたが、傍若無人な女は手付金と言って千円だけを真野に渡して、販売車の助手席で眠り始めます。
優しい真野は仕方なく彼女をそのままにしておき、営業時間が終わった後、その車で彼女を送り、帰る場所がないという身元不明の女を東京の街中に降ろします。
翌日、休暇で家にいて洗濯物を干している真野のもとに従業員から、昨日の女がまた同じ販売車の助手席に座って寝ているとの電話がかかってきます。
邪険にしないよう社員に指示する真野、そして、その翌日も同じように女が現れてまた同じように車の助手席に居座ります。
周囲の人間に縛られる男と、傍若無人な縛られない女、振り回されながらも会話を重ねていくうちに、真野は少しずつ彼女に心を開いていき、自分の秘密を話すようになっていきます。
感想
60分程度の中篇映画です。
瀬戸康史さん演じる真野は見た目はもちろん、大きな責任を抱えて生きている様もかっこいいです。
一方で、短い上映時間に割を食ったわけではないでしょうが、阿部純子さん演じる女は正体不明で謎の部分が多く、不貞腐れた表情の多い傍若無人な態度は共感しにくい部分もありました。
「害虫」の宮崎あおいさんも不貞腐れていて、なぜか周囲の男を惹きつける点で共通していますが、背景描写が少ない点が違いかなと思います。
決してストーリーに大きな起伏があるわけではありませんが、全体的な雰囲気やテンポがよく、会話のやり取りや間も違和感なく自然と楽しめました。
終わり方もよかったと思います。
途中に何度か表示されるテロップは主演のどちらかの方に音読してもらったほうが個人的にはよかったです。
また、海を腐った魚の臭いと表現したり、初めて女が助手席で眠るシーンやエンドロール後に発生するヘリの轟音が響くといった作品全体に漂う不穏な雰囲気、震災のことが含まれているようです。
WEB上に記事もありました。
「大切な人を失って自分自身が生き残った人は、大きな罪の意識を背負って、自分を罰するような行動に走るらしい。」
自転車を漕ぎながら君のことを想いだす
漕いでいなくても君のことを想いだす
コメント
コメントを投稿