左ききのエレン(ひだりききのえれん)
原作:かっぴー
作画: nifuni(にふに)
出版社: 集英社
掲載誌:少年ジャンプ+
巻数:既刊1巻(2017/12)
「左ききのエレン」は広告代理店勤務の若手デザイナーを主人公に、華やかな広告代理店やクリエイターの仕事の一幕や、社会の不条理や凡人の葛藤、天才の苦衷の一幕を描いた、大人の青春要素を備えた群像ヒューマン漫画です。
Web漫画誌である「少年ジャンプ+」で連載中のものは作画をnifuniさんが担当するリメイク版であり、もともとはデジタルコンテンツ配信プラットフォームである「cakes(ケイクス)」で原作のかっぴーさんが作画も含めて発表している作品です。
「cakes」のオリジナル版の話はすでに完結しているため、話の続きが気になり、連載が待てないという人はそちらのプラットフォームで読破するこもと可能です。
かっぴーさんは現在、株式会社なつやすみの代表を務めている方なのですが、美術大学卒業、広告代理店勤務といった経歴をもっており、その経験が本作品にも活かされているようです。
あらすじ
本作品の主人公である朝倉光一は、広告代理店に勤務する若手デザイナーであり、日々の多忙な業務を寝ずに休まずに取り組んでいます。
高校生のとき、自分の才能に絶対の自信を持ち、すぐに有名デザイナーになる理想を描いていましたが、偶然にも本物の才能である「左ききのエレン」と出会ったがために、現実と理想の狭間で揺れ動くことになります。
それでも、26歳となった今でも「何か」になることを求め、諦めず、もがき続けています。
一方で本作品で天才と呼ばれるエレンもまた、類まれなる才能を持ち合わせていながら、大好きな父親を幼少期に失った経験からか、その才能を活かす世界を素直に受け入れることができず、苦悩を見せるときがあります。
そんなエレンですが、偶然出会った光一に感化されているような一面を見せることもあります。
広告代理店でバリバリ働く光一、アメリカで絵を描き続けるエレン、二人ともに悩みを抱えながらも、現在や学生時代の邂逅といった時代転換とあわせて物語は進んでいきます。
感想
天才になれなかった全ての人へ
上記は本作品の見出しから引用した文章であり、本作品は才能に関わらず、努力する、一生懸命になる、諦めないということを訴える作品です。
広告代理店を舞台の中心としているため、クライアントや上司の理不尽な要求に社会人として耐える場面や、クリエイティブな人たちが集まる華やかな場面が次々と登場します(と、思っています)。
広告代理店を舞台にした作品としては藤原伊織さんの小説「シリウスの道」があり、こちらの主人公は営業部の副部長で、仕事が無茶苦茶できて、台詞回しもかっこいいハードボイルド系の作品に見られるタイプの主人公でした。
一方で同じ広告代理店を舞台にしながらも、本作「左ききのエレン」の主人公は若手デザイナーであり、責任ある仕事を回してもらえず、周りからの信頼も決して厚いわけではありません。
だからこそ、社内社外の理不尽な要求への対応、意見の合わない仲間とのコミュニケーション、チームとしての役割に、真摯に向き合う光一に共感しやすく、そんな光一の諦めない姿勢がこの漫画を読んで得られるおもしろさだと思います。
光一や天才像のエレン以外にも、光一の良き先輩である神谷さんや、光一の同級生であり、エレンの幼馴染でもあるリアリストのさゆりといった印象深いキャラクターもたくさん登場します。
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