二流小説家
原題: The Serialist
著者名: デイヴィッド・ゴードン(David Gordon)
訳者: 青木千鶴
出版社: 早川書房
発売日: 2010/03
ジャンル:サスペンス
「二流小説家」はデイヴィッド・ゴードンさん著書のクライムサスペンス小説です。
この小説が著者のデビュー作です。日本では2012年の「このミステリーがすごい!」海外編で1位を獲得したり、2013年に「二流小説家 シリアリスト」のタイトル上川隆也さん主演で映画化されたりしています。
あらすじ
本作の主人公ハリー・ブロックは、SFやヴァンパイア、ポルノといった様々なジャンルの小説を、複数のペンネームを使い分けながら細々と書き続けているしがない小説家です。
支え続けていた彼女には振られ、生活のために始めた家庭教師のバイトで教え子の女子高生にも主導権を握られ、と小説家としてだけではなく、男としてもどこか魅力が足りない面があります。
そんなハリーに大逆転のチャンスが巡ってきます。
4人もの女性を残虐な方法で殺害し世間から注目を集めた死刑囚、ダリアン・グレイからハリーのもとに突然、手紙が届きます。
ダリアンはハリーが別名義で執筆していたポルノ小説のファンであり、とある頼みと引き換えに世間の注目を集める連続殺人犯の告白本執筆の機会をハリーに与えるというものでした。
死刑囚にもかかわらず、ダリアンのもとには複数の酔狂な女性からファンレターが届く状態です。外出できない彼に代わってハリーがその女性たちと会って、そして彼女たちをモデルにした小説を書く、それがダリアンから依頼でした。
ハリーはプライドもあり当初はその申し出に迷いもありましたが、周囲の環境や説得もあり、その取引に応じてダリアンのファンを自称する女性たちと会うことにします。
しかし、それは凄惨な事件が再開されるきっかけにしか過ぎませんでした__
感想
海外作品の中では比較的読みやすい気がします。
というのも、いまいち冴えない主人公がいて、なぜか可愛くて世話好きな女子学生がいて、偶然にも主人公に大きなチャンスが巡ってくる、どこか日本のライトノベル的な要素が含まれている点がとっつきやすくなっている理由だと思います。
ただ、若干グロ要素があるため、読みやすいといってもその点は注意です。
ミステリーを重視するのであれば作品全体の分量に対してその要素が少なすぎるかもしれません。
特に、この作品では主人公が小説家である影響による作中作が多くあり、ちょいちょい話の途中で挿入され、それが冗長な印象を与えます。
逆に考えると、その作中作も含めて全体を楽しめるのが理想的な読み方であると思います。
エンタメ重視のサスペンス作品としてはおもしろいです。しかし、映画版を見たくなるかと問われると微妙かもしれません。
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