映画 ~ マディソン郡の橋 ~




マディソン郡の橋(までぃそんぐんのはし)
原題:The Bridges of Madison County
配給:ワーナー・ブラザース
監督:クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)
脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ(Richard LaGravenese)
出演:メリル・ストリープ、クリント・イーストウッド
公開日:1995/6/2(1995/9/1)
ジャンル:恋愛




「マディソン郡の橋」はアイオワ州の田舎を舞台に、年を重ねたプロのカメラマンと、家族がいる農婦との4日間の熱愛、いわゆる不倫を扱った恋愛映画です。

原作はロバート・ジェームズ・ウォラーさん著作の小説です。

小説では農婦の女性が45歳でカメラマンの男性が52歳の設定です。

映画では年齢の明示はなかったと思いますが、農婦の女性を演じるメリル・ストリープさんが当時45歳で、クリント・イーストウッドさんが65歳だったとのことで映画のほうが年齢差を感じる設定となっています。



あらすじ


アイオワ州の片田舎で亡くなった母親、フランチェスカ(メリル・ストリープ)の相続手続きや遺品整理のために、長男のマイケルと妹のキャロリンが母親の住んでいた家に集まります。

そこでフランチェスカが「火葬に付して欲しい、そして、その遺灰をローズマン・ブリッジから撒いてほしい」との遺言を残していることを長男達は初めて知らされます。

これまで代々、土葬を選んできた家柄であること、先に逝去している父親がすでに夫婦用の墓地を購入済みであることからマイケルはその遺言が何かの間違いであると主張します。

しかし、その後、遺品からノートが見つかります。

そのノートには、家族を大切にしていたと思っていた母親が、20年以上前の一人留守番をしていた4日間に、一人の男性と一線を越えた熱愛をしていたことが記されていました。


残されたフランチェスカの子どもであるマイケルとキャロリンは、このときになって初めて母親に関するたくさんの知らなかったことを知ることとなります。

20年以上前に日々の生活に孤独を感じていたこと、
偶然出逢ったカメラマン、キンケイド(クリント・イーストウッド)に恋をしていたこと、
キンケイドもまたフランチェスカに恋をしていたこと、
キンケイドがフランチェスカにとってどれほど他ならぬ存在であったかということ、
そしてまた、フランチェスカにとって家族が掛けがえのない大切な存在であるかということ、
なぜ火葬を望んだのかということを__



感想


この記事を書いている2017年9月、世間では北朝鮮のミサイルと台風と政治家や芸能人の不倫のニュースがループしている状態です。
“不倫”が世間の興味をひき、風当たりも強いのはいつの時代もそれほど変わるものではないと思います。
この映画もそんな不倫を題材とした作品となっています。

遺族である息子たちも、母親が不倫していたことに対して、最初は動揺と憤怒の表情が見られました。
しかし、母親でもあるフランチェスカはドロドロ系の昼ドラに出てくる浮気の背徳感にスリルを覚えているような登場人物ではなく、自身の幸福と家族の幸福に思い悩む人物であり、その様子が丁寧に描かれていることと、穏やかな片田舎を舞台にしていること、最後のシーンで残された家族が選択したことを見ることで、不倫を扱ってはいますが、少し爽やかな印象を受けられるように話がまとまっているように思います。
(とは言っても、やはり新婚の方や、不倫と聞いただけで強く嫌悪感を抱く方は見ないほうがいいと思います)

“子はかすがい”という言葉がありますが、“恋人”だろうが“夫”であろうが“世間”であろうが、生きていくうえで“かすがい”となり得るものはたくさんあふれています。

もしフランチェスカがキンケイドと出会っていなければ孤独を感じる生活をずっと続けていたのか、もしフランチェスカが最期に違う選択をしていたらその後どのような生活が続いたのか、もし子どもがいなければどうなっていたのか、この映画のメリル・ストリープさんの演技を見ていると様々なことを想像したくなりました。

そして、フランチェスカという登場人物の印象が強く残ることになってしまいました。


いくら年を重ねようとも繰り返し繰り返し生きる意味を知っていくこと、何度も何度も選択を迫られること、それらは、年を重ねた男女の“不倫”という重いテーマを扱っているからこそ表現できたと思っており、クリント・イーストウッドさんが監督でよかったなと思っています。


余談ですが、カメラマンのキンケイドが使用しているカメラはニコン製品であり、映像中にはっきりと「Nikon」の文字が確認できます。

こういった素敵な映画に日本製品が出てくると少し嬉しくなるため、現在カメラ事業が不振とのことですが、末永くブランド名が残ればいいのになと改めて思いました。


また、土葬か火葬かの話は映画「エリザベスタウン」でも出てきましたが、少しずつ土葬が主流の欧米でも火葬を選択する人が増えているという話も聞いたことがあります。一方で日本では土葬は禁止されているわけではありませんが、やろうと思っても難しいらしいです。文化や宗教の価値観の違いを理解して映画を楽しめたならなぁ~と思います。


そしてショッキングなのが今年の2017年4月15日にタイトルにもなっている有蓋橋(ゆうがいばし)が焼失したというニュースが流れていました。ひどい……
(※マディソン郡の橋は複数あるようです。そして複数燃えているようです)



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