セッション
原題:whiplash
配給:ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
監督:デミアン・チャゼル(Damien Chazelle)
脚本:デミアン・チャゼル
出演:マイルズ・テラー(Miles Teller)、J・K・シモンズ(J K Simmons)
公開日:2014/10(日本 2015/4)
ジャンル:音楽、ヒューマン
「セッション」は名門音楽学校の大学生が、スパルタ指導の著名な指揮者に見出されたことにより、様々なものを犠牲にしながらドラム奏者として音楽の世界にのめり込んでいく、演者と指導者のヒューマン音楽映画です。
監督は「ラ・ラ・ランド」でアカデミー監督賞を受賞したデミアン・チャゼルさんで、本作品も2015年に開催されたアカデミー賞の作品賞と脚色賞にノミネートされています。
主人公に「ラビット・ホール」、「ファンタスティック・フォー」等のマイルズ・テラーさん、スパルタな指揮者役に「スパイダーマン」シリーズや、「ER緊急救命室」をはじめとする数多くのテレビドラマへのゲスト出演経験があるJ・K・シモンズさんを迎えています。J・K・シモンズさんは本作品でアカデミー賞の助演男優賞を受賞されています。
本作品は上記で記述した以外にアカデミー賞の編集賞と録音賞も受賞しています。
あらすじ
どこからかドラムの音が聞こえてきます、そのテンポが徐々にあがっていきます__一人で練習をしている学生(アンドリュー・ニーマン/マイルズ・テラー)、スキンヘッドの男(テレンス・フレッチャー/J・K・シモンズ)がそこに近づいて来ます。
突然の来訪者に思わず謝ってしまうニーマン、フレッチャーは続けろと言います。
フレッチャーの質問を受け、ニーマンは自身の名前と、学年が1年生であることを伝えます。
私のことを知っているか?とフレッチャーはニーマンに尋ねます、続いて、楽団員を探していることは知っているか?とフレッチャーは尋ねます、ならなぜ演奏を止めた?とフレッチャーに問われ、ニーマンは慌てて演奏を再開します。
ニーマンの独りよがりなパフォーマンスに対して、“ゼンマイ式のサルか”と厳しいフレッチャー、そのままニーマンにルーディメンツの基礎奏法を披露するように指示し、更に続けて、スウィングをダブルタイムで披露するよう指示します。
スウィングを始めたニーマン、しかし、即座にフレッチャーから注意が入ります、ダブルタイムだと、速くしろと、もっと速くしろと__
必死で喰らいつこうとドラムに集中するニーマン、すると扉を空ける音が聞こえてきて、顔を上げると、フレッチャーが部屋から出て行った後でした。呆然としていたニーマン、すると、フレッチャーが戻ってきます、上着を忘れたと言って、そしてまた去っていきました。
舞台はシェイファー音楽院の秋学期です。
学校から帰宅するニーマン、そのまま映画館に立ち寄ります。
上映している映画のタイトルは“RIFIFI(男の争い)”、売店でポップコーンとコーラを買うニーマン、“グミは?”と店員の女の子(ニコル/メリッサ・ブノワ)に尋ねられるノーマン、彼はその女の子に気があるようです。
席に戻るニーマン、隣には彼の父親(ジム・ニーマン/ポール・ライザー)がいて親子で映画鑑賞です。ニーマンはフレッチャー教授が見に来たと父親に伝えます。父親が上手くいったのか尋ねますが、ニーマンは駄目だったと答えます。父親はニーマンに別の道もあるし、先は長いと慰めの言葉をかけます。ニーマンはレーズンが苦手でも父親が好きだからと、相手のことを優先する優しい性格の持ち主です。
学校に向かうニーマン、現在いるクラスは音楽に対する情熱が乏しく、ニーマンは場違いな雰囲気を感じています。
指揮者がやってきて“ビリー・ゼイン”という曲を頭から演奏するように指示します。ニーマンはそのクラスでは控えの奏者であり、首席奏者の譜めくりをしています。
授業後、廊下を歩いているニーマン、憧れであるフレッチャーのクラスをつい覗いてしまいます。
自主練に励むニーマン、「バディリッチ」や「バードランド」の音楽に没頭していきます。
ある日の授業中、フレッチャーがニーマンのクラスに突然やってきます。
フレッチャーは次々と演奏指示を出します、トランペット、トロンボーン、テナー、そしてドラムス__
ドラムはまず首席奏者が演奏し、代われとの指示により、ニーマンもその腕前を披露する機会が与えられます。
ドラムスの後は、ベースと一通り見終わった後、フレッチャーは“ドラムス、来い”と投げかけます、喜んで移動しようとする首席奏者、しかしフレッチャーは“後ろのほうだ”とニーマンを呼び、“B-16号室、朝6時、遅れるな”と伝えます。
常に笑みがこぼれてしまうニーマン、あまりの嬉しさに、そのまま映画館に向かい、受付のニコルに喜びを伝え、その勢いのままデートに誘います。
“帰って”と言われ、慌てふためいてしまうニーマン、ニコルはその様子を見て笑った後、“冗談よ” と言って、ピザ屋でのデートの約束を取り付けます。
調子に乗りすぎたのか、翌日ニーマンが目を覚まして時計をみると、時間は6時3分を指しています。慌てて移動するニーマン、階段で転びながら必死でたどり着いた教室に入ると中は空っぽでした。
教室入り口の案内を見ると、授業は9時開始となっており、ニーマンは3時間も早く来るように言われていたようです。
9時3分前、次々と生徒がやってきます。ドラムスの首席奏者はニーマンに対して挨拶を簡単に交わすと、Bフラットにとドラムの調整を頼みます。
そして、フレッチャーがジャスト9時に入室、授業が始まります。
曲名は“ウィップラッシュ”__
感想
原題の「whiplash」はジャズの有名な曲名らしく、作中でも出てきますが、言葉の意味として”むち打ち”という意味もあるため、ダブルミーニングのようです。そして、「飴と鞭」という言葉がありますが、この作品はひたすらに「鞭と鞭、そして鞭」です。
この映画は物語の起承転結における「結」の印象を強く残す意味ですごくおもしろかったです。
成長するためには“グッジョブ”という言葉は有害だという台詞がありますが、これがその場面だけではなく、物語全体に影響を与えている点も興味深いです。
ただ、熱血物・スポコンというよりも、嫉妬や狂気といった面もそれなりに描かれているため、スクールウォーズやルーキーズ等の感覚を期待して見るとがっかりするかもしれません。
セッションとは仲間、対等なパートナー関係で行うものというイメージを私は持っているため、師弟関係が強すぎるこの作品は強烈です。
There are no two words in the English language more harmful than "good job"
『(成長し続けることを阻害する)最も恐ろしく有害な言葉は"グッジョブ"だ。』
コメント
コメントを投稿